成分解析

BOTANISTモイストの成分解析
2023年リニューアルで加わった懸念と正直な評価

累計販売2億個以上、ドラッグストアヘアケア市場でシェア日本1位——BOTANISTはそれだけ広く使われているシャンプーです。

「アミノ酸系シャンプー」「サルフェートフリー」「30種以上の植物成分配合」というイメージが定着していますが、 2023年9月の大幅リニューアルで、これまでのBOTANISTとは別物になっている部分があります

成分表を順番に読むと見えてくる「グリセリンが2番目に登場する意味」と、リニューアルで追加された懸念成分について、 シャンプーソムリエとして正直にお伝えします。

製品スペック

製品名BOTANISTボタニカルシャンプー モイスト
ブランドBOTANIST(ボタニスト)/ 株式会社I-ne
容量460mL
価格(税込)¥1,540
1mLあたり単価約3.3円
1回使用コスト目安約17円(5mL使用時)
主洗浄成分の分類ベタイン系(主剤)+アミノ酸系(複数)
サルフェートフリー
シリコンフリー
パラベンフリー

成分表(2023年9月リニューアル後・現行版)

成分表は配合量の多い順に記載されます。上位に来る成分ほどそのシャンプーの本質を決定します。

BOTANISTモイスト 全成分(2023年9月〜現行)

水、グリセリンコカミドプロピルベタインココイルメチルタウリンNaラウロイルメチルアラニンNa、ラウラミドプロピルベタイン、ラウロイルサルコシンNa、 ラウレス-4カルボン酸Na、ココイルグルタミン酸Na、トウミツ、スフィンゴ糖脂質、 マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル、加水分解野菜タンパク、シラカンバ樹液、 ガラクトミセス/シラカンバ樹液発酵液、グリチルリチン酸2K、ブドウ種子エキス、 テルミナリアフェルジナンジアナ果実エキス、アンズ核油、酒粕エキス、オリーブ葉エキス、 加水分解コラーゲン、加水分解ヒアルロン酸、セラミドNG、リンゴ酸、アルギニン、 水添レシチン、フィトステロールズ、BG、DPG、ポリクオタニウム-10、デシルグルコシド、 セテアレス-60ミリスチルグリコール、PEG-40水添ヒマシ油、コカミドMEA、 ペンチレングリコール、ベヘントリモニウムクロリドジステアリルジモニウムクロリド、 EDTA-2Na、エタノール、塩化Na、トコフェロール、フェノキシエタノール、安息香酸Na、香料

太字:主要洗浄成分 / 赤字:リニューアルで追加された懸念成分

「グリセリン2番目」の意味

最初に気づくのは、2番目に「グリセリン」が来ていることです。

通常のシャンプーでは、水(1番目)の次には洗浄成分(界面活性剤)が来ます。 ところがBOTANISTモイストは保湿剤のグリセリンが2番目——つまり洗浄成分よりも多く配合されているということです。 これは市販シャンプーの中でも異例の構成で、保湿優先の処方を意図していることがよくわかります。

ただし、このグリセリン高配合には向いている髪質と向いていない髪質があるという点は正直にお伝えする必要があります。 グリセリンは水分を引き寄せる保湿剤ですが、湿気の多い環境ではべたつきやすく、 細毛・軟毛では髪が重くなりボリュームが出にくくなることがあります。

洗浄成分の正体

グリセリンの後に続く洗浄成分(界面活性剤)は、次の通りです。

3位

コカミドプロピルベタイン

ベタイン系(両性イオン界面活性剤)

低刺激で泡立ちを補助する成分。单独では洗浄力が弱いため、他の洗浄成分と組み合わせて使われます。 コカナッツ由来のマイルドな界面活性剤で、アミノ酸系シャンプーに多用されます。

4位

ココイルメチルタウリンNa

タウリン系(アミノ酸類似)

タウリン誘導体の低刺激な洗浄成分。コンディショニング性も持ち合わせています。 純粋なアミノ酸系ではありませんが、刺激性は低い分類です。

5位

ラウロイルメチルアラニンNa

アミノ酸系(陰イオン界面活性剤)

アラニン(アミノ酸)誘導体。20年以上の使用実績で重大な皮膚刺激の報告がほとんどない、信頼性の高い成分です。

3〜5位の洗浄成分はすべてマイルドな分類です。7位のラウロイルサルコシンNaは同じアミノ酸系の中でもやや洗浄力が強めですが、 配合量は少ないため大きな影響はありません。

総じて「ベタイン系+アミノ酸系」のハイブリッドで、硫酸塩(SLS/SLES)は一切不使用。 市販シャンプーの中でも洗浄成分の質は高い部類です。ただし洗浄力は弱めで、皮脂が多い方やスタイリング剤を多用する方には不足する可能性があります。

2023年リニューアルで加わった懸念:第4級アンモニウム塩の配合

2023年9月のリニューアルで、新たに2つの成分が追加されました。

新規追加された懸念成分

  • ベヘントリモニウムクロリド:第4級アンモニウム塩(陽イオン界面活性剤)
  • ジステアリルジモニウムクロリド:同じく第4級アンモニウム塩

第4級アンモニウム塩は本来、コンディショナーやトリートメントに用いられる成分です。 コーティング効果でしっとり・ツヤを出す効果がありますが、シャンプーへの配合は別の話です。

洗い流すシャンプーに第4級アンモニウム塩を入れると、頭皮に残留しやすく、 毛穴詰まり・かゆみ・炎症のリスクが高まる可能性があります。 美容師や成分解析専門家からも「シャンプーへの配合として疑問」という指摘が複数上がっています。

「2023年以前のBOTANISTの方が頭皮に合っていた」という声が口コミで多く見られるのは、 この成分追加が一因として考えられます。

保湿・補修成分の評価

洗浄成分の後に続く保湿・補修成分は充実しています。ただし、成分表の後半に登場する植物エキス類の配合量は少量です。

注目の配合成分

  • グリセリン(2番目・高配合):水分を引き寄せる保湿剤。異例の高配合
  • 加水分解ヒアルロン酸:通常のヒアルロン酸より小分子化されており、頭皮・毛髪への浸透性が高い
  • 加水分解野菜タンパク:毛髪内部への浸透が確認されており、引張強度・弾性を改善する可能性(Journal of Cosmetic Science)
  • セラミドNG:毛髪キューティクルと同成分の脂質。ダメージ毛のコーミング力改善に効果あり(Cosmetics & Toiletries誌 2018年)
  • グリチルリチン酸2K:甘草由来の抗炎症成分。脂漏性皮膚炎への有効性が臨床研究で示されている(Journal of Cosmetic Dermatology 2021年)
  • マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル:毛髪の脂質層を補修するエモリエント成分

ただし、シャンプーは洗い流す製品のため、これらの有効成分の毛髪への留まりには限界があります。 「ナノ植物成分が浸透する」というマーケティング表現は、洗い流し製品の特性を考えると 効果の持続性への過大な期待は禁物です。

マーケティングの主張と成分が示す現実

マーケティング主張成分から見た現実
アミノ酸系シャンプー △:アミノ酸系成分は複数配合されているが、主洗浄成分1位はベタイン系(コカミドプロピルベタイン)。「純アミノ酸系」ではない
サルフェートフリー ○:SLS・SLESは完全不使用
シリコンフリー ○:ジメチコン等のシリコン不使用。ただしPEG系乳化剤を使用
頭皮にやさしい △:洗浄成分自体はマイルドだが、2023年リニューアルで添加された第4級アンモニウム塩が敏感頭皮に影響する可能性
30種以上の植物成分 △:植物エキスは実際に配合されているが、成分表後半(少量)のため、機能への寄与は限定的

シャンプーソムリエによる評価

肌への優しさ

★★★★☆

洗浄成分は優秀。ただし2023年追加の第4級アンモニウム塩が懸念

洗浄力

★★☆☆☆

マイルド設計。皮脂が多い・スタイリング剤を使う方には不足

コストパフォーマンス

★★★☆☆

約16円/回。この価格帯としては標準的

総合評価

★★★☆☆

適切な髪質・頭皮タイプの方には高評価。ただし万人向けではない

BOTANISTモイストが向いている人・向いていない人

向いている人 向いていない人
乾燥・パサつきが気になる 頭皮が脂っぽい・べたつく
広がり・うねりをまとめたい(特に梅雨時) 細毛・軟毛でボリュームを出したい
カラー・パーマをしていて色落ちが気になる 毎日スタイリング剤(ワックス・オイル)を使う
ダメージケアをしながら洗いたい すっきり感・さっぱり感を重視したい
太め・硬めの髪質 頭皮が敏感で毛穴トラブルが気になる(第4級アンモニウム塩の懸念)

BOTANIST モイスト vs YOLU カームナイトリペア

どちらも同じI-ne社が製造・販売するブランドですが、処方の方向性は大きく異なります。

BOTANIST モイスト

主洗浄:ベタイン系+アミノ酸系
洗浄力:弱め
保湿:グリセリン超高配合
カラー・ダメージ毛に◎
細毛・脂性頭皮に△

YOLU カームナイトリペア

主洗浄:オレフィン(C14-16)スルホン酸Na
洗浄力:強め(スルホン酸系)
補修:多種セラミド・γドコサラクトン
夜間集中補修コンセプト
カラー・ダメージ毛には洗浄力が強すぎる懸念

カラー・パーマをしている方、ダメージが気になる方にはBOTANISTの方がマイルドで適しています。 一方でYOLUは洗浄力が強く、運動後・皮脂が多いときには向いています。 「夜用」という表現ですが、洗浄力の強さは朝シャンに近い設計です。

木村芳樹
BOTANISTは市販シャンプーの中でも洗浄成分の選択は良いほうです。ただし2023年のリニューアルで第4級アンモニウム塩が追加された点が気になっています。この成分は通常トリートメントに使うもので、頭皮には残留しやすい。頭皮にトラブルが出た方は、このリニューアルが原因のひとつかもしれません。2023年以前のBOTANISTを気に入っていた方が「合わなくなった」と感じるのは、成分変更への反応として自然な話です。

木村芳樹 — シャンプーソムリエ

よくある質問

BOTANISTモイストを使い続けると頭皮に悪いですか?

洗浄成分自体はマイルドで問題ありません。ただし2023年リニューアルで追加されたベヘントリモニウムクロリドなどの 第4級アンモニウム塩は、敏感な頭皮では炎症やかゆみを引き起こす可能性があります。 使い始めてから頭皮のかゆみや赤みが出た場合は、使用をいったん中止することをお勧めします。

BOTANISTモイストはシリコン入りシャンプーより悪いですか?

そんなことはありません。シリコンが問題かどうかは使用者の髪質や目的によります。 BOTANISTがシリコンフリーにしているのはマーケティング上の選択でもあります。 細毛・猫っ毛でツルツル感を求めるなら、軽めのシリコン配合シャンプーの方が合う場合もあります。

グリセリンが2番目というのは良いことですか?

乾燥が気になる方・まとまり感を求める方には良い設計です。ただし細毛・軟毛の方では グリセリンの重みで髪がぺたんとなりやすいです。「しっとりしたけどボリュームがなくなった」という場合は グリセリン高配合が原因の可能性があります。

自分の髪質に合うシャンプーがわかりません

まずは頭皮チェックで頭皮タイプを確認してみてください。 成分だけでなく使い方込みでご相談したい方はサロンへどうぞ

市販シャンプーの中でも成分の優劣を正しく読むには、慣れが必要です。

頭皮チェックをする サロンに相談する

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