サルフェートフリーは本当に良いのか
ドラッグストアやコスメ系のSNSで、「サルフェートフリー」という言葉をよく見かけるようになりました。
「硫酸系不使用=頭皮に優しい=良いシャンプー」という図式が広まっているようです。でも、これは半分正解で、半分は状況次第です。
シャンプーソムリエとして正直に言います。サルフェートフリーという表示だけで選ぶのは危険です。その理由を説明します。
そもそも「サルフェート」とは何か
サルフェート(硫酸塩)とは、シャンプーに使われる洗浄成分の一種です。代表的なものに「ラウレス硫酸Na」「ラウリル硫酸Na」があります。
洗浄力が非常に高く、泡立ちが良く、コストが安い。だから長年、市販シャンプーの主力成分として使われてきました。
一方で、洗浄力が強すぎるため、頭皮の必要な皮脂まで落としてしまうことがある。乾燥肌・敏感肌の人が毎日使うと、かえって頭皮のコンディションを崩すことがある——これが「サルフェートは悪い」という評価の根拠です。
硫酸系が不向きな人
- 乾燥肌・乾燥フケが気になる方
- 敏感肌・頭皮が赤くなりやすい方
- カラーやパーマをしていて色持ちを重視する方
「サルフェートフリー」でも洗浄力が強いシャンプーがある
ここが盲点です。
サルフェートフリーのシャンプーには、硫酸系の代わりに「オレフィン(C14-16)スルホン酸Na」が使われているケースがよくあります。
この成分、硫酸系ではありません。なのでサルフェートフリーを名乗ることができる。ただし、洗浄力と刺激性は硫酸系と同程度かそれ以上、と言われています。
水、オレフィン(C14-16)スルホン酸Na、コカミドプロピルベタイン、ポリクオタニウム-10...
これは「サルフェートフリー」を謳うシャンプーで実際によく見る処方です。表のラベルには「硫酸系不使用」と書いてあっても、成分表の2番目がこれなら、乾燥肌の人にとっては実質的に硫酸系と変わらない選択になります。
メーカーが嘘をついているわけではない。でも、知らないまま選ぶと誤解する。これが成分表を読めるようになる最大のメリットです。
脂性肌の人には硫酸系が合うこともある
もう一つの視点。「硫酸系=悪」は一般化しすぎています。
皮脂分泌が多く、夕方には頭皮がべたつく脂性肌の人にとっては、アミノ酸系だけでは洗い足りないことがあります。皮脂が残ると酸化して、かゆみや臭いの原因になることも。
そういう方が硫酸系のシャンプーを使うことは、必ずしも悪い選択ではありません。毎日ではなく週に数回、または季節によって使い分ける方法もあります。
大事なのは「硫酸系かどうか」ではなく、「自分の頭皮タイプに合っているかどうか」です。
サルフェートフリーを選ぶなら何を確認すべきか
サルフェートフリーのシャンプーを選ぶ際に、成分表で確認すべきポイントをまとめます。
サルフェートフリーシャンプーの成分チェックリスト
- 2番目・3番目にオレフィンスルホン酸が来ていないか
- アミノ酸系(グルタミン酸・アラニン)やベタイン系が主体か
- コンディショニング成分(ポリクオタニウム等)が入っているか
「サルフェートフリー」の表示はあくまでマーケティング上の訴求です。成分表の2番目と3番目を見れば、そのシャンプーの本当の性格がわかります。
「サルフェートフリー」という言葉より、成分表の2番目と3番目のほうが正確な情報です。ラベルの表を信じるより、裏面の事実を読む習慣をつけてほしい。
木村芳樹 — シャンプーソムリエ
よくある質問
サルフェートフリーシャンプーは高いものが多いのはなぜ?
アミノ酸系やベタイン系などのマイルドな洗浄成分は、硫酸系と比べて原料コストが高くなります。そのため製品価格に反映されやすい。ただし、価格が高いこととシャンプーの品質は必ずしも比例しません。
カラーをしているので硫酸系は避けたほうがいいですか?
カラーの色持ちを重視するなら、アミノ酸系やベタイン系のマイルドな洗浄成分のシャンプーの方が色落ちしにくい傾向があります。ただしカラー直後の数日間だけ切り替える、という方法でも効果があります。
子どもにも使えるサルフェートフリーを探しています
子ども向けなら、ベタイン系が主体のシャンプーがおすすめです。ベタイン系はベビーシャンプーにも使われるほど低刺激で、頭皮への負担が少ない。成分表で「コカミドプロピルベタイン」「ラウロイルサルコシンK」などを確認してみてください。
自分に合う洗浄成分を知るには、まず頭皮タイプを確認しましょう。